シネマコリアの代表が、韓国映画と格闘する日々をつづります


by seochon
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

映画祭シーズン突入!

 いよいよ今週から秋の映画祭シーズンに突入します。まずワタクシが住む名古屋で開催されるのが、あいち国際女性映画祭。もう明日、というか今日からスタートですね。既報の通り、『牛と一緒に7泊8日』と『2lines 私、妊娠しました』が日本初公開されます。イム・スルレ、チミン両監督が来日し、上映時のティーチインのほか、9/9にはトークサロンも開催されます。楽しみ。

 今週末9/9からは福岡インディペンデント映画祭(FIDFF)も始まります。こちらは、韓国のインディーズ・ムービー6本が紹介され、関係者が大挙来日。土日には2時間ずつかけてゲストカフェトークが開催されます。

a0101620_472436.jpg 福岡といえば、アジアフォーカス・福岡国際映画祭が有名ですが、こちらは9/16から。2007年にディレクターが佐藤忠男氏から梁木靖弘氏に交代になりましたが、これを機にこと韓国映画に関しては、インディーズ&アート系の作品紹介に力を入れている様子。今年は、CJ Entertainment の支援の元、韓国映画アカデミーが制作した『Bleak Night(原題)』と、パク・チャヌクの弟でメディア・アート作家のパク・チャンギョン監督作品『浄土アニャン』が上映されます。

 あまり正確ではないですが、おおざっぱに区分けすると、FIDFFは学生&アマチュアの短編が対象で、アジアフォーカスはインディーズであってもプロ仕様の長編がターゲットという感じでしょうか。とはいえ、2008年にアジアフォーカスで『7月32日』が上映されたチン・スンヒョン監督の新作『Where are to go?/どこに行こうか?』が今年FIDFFで上映されたりもするので、まあ本当におおざっぱな区分けです。(^^;

 また、9/22からは、アジアフォーカスの協賛企画として、東アジア映画フェスタ2011 中国&韓国が開催されます。こちらでは、昨年から真!韓国映画祭の作品をまとめて上映していただいています。真!韓国映画祭も、名乗ってはいないものの、実質インディーズ系の作品を紹介する映画祭なので、9月の福岡はコリアン・インディーズ・ムービー天国になりますね。^^

 将来、学生時代の短編がFIDFFで上映され、同じ作家がプロになった時の作品がアジアフォーカスでかかり、一定の商業性を持った作品を作るようになったら、それが真!韓国映画祭を通じて、東アジア映画フェスタで福岡上映される。。。つまり一人のインディーズ作家の成長経路を福岡ですべて見ることができる、なんてことになったら素敵ですね。

 ところで、直訳すると『番人』とでも訳すことになる『파수꾼』ですが、当初アジアフォーカスでは『凍てつく夜に』というタイトルになっていたのですが、最近『Bleak Night(原題)』に改題されました(本当は「原題」ではなくて「英題」なんですけど)。(原題)という但し書きは、劇場公開予定だけれどまだ公開時のタイトルが決まっていない時に付くので・・・ 『파수꾼』、どうやら劇場公開されそうな雰囲気ですね。CJ Entertainment 作品なだけに、CJ Entertainment Japan で配給されるんでしょうか。

a0101620_481320.jpg

『Bleak Night(原題)』 こと 『파수꾼』

 ちなみに映画祭公式サイトには載っていませんが、『파수꾼』は監督のユン・ソンヒョンに加えて、主演男優のイ・ジェフンも来福します。こちらもどうぞお楽しみに。


■あいち国際女性映画祭2011 9/7~9/11
 http://aiwff.com/
■福岡インディペンデント映画祭2011 9/9~9/13
 http://www.fidff.com/
■アジアフォーカス・福岡国際映画祭2011 9/16~9/25
 http://www.focus-on-asia.com/
■東アジア映画フェスタ2011 中国&韓国 9/22~9/27
 問合せ:アジアの心実行委員会 TEL 092-691-8824
[PR]
# by seochon | 2011-09-07 04:15
 11月に熊本と福岡で開催される東アジア市民共生映画祭2011(旧称、東アジア移住共生映画祭)で、『パンガ?パンガ!』が上映されます。映画祭での上映タイトルは(わずかな違いしかありませんが^^;)『バンガバンガ』。

a0101620_22382122.jpg

『パンガ?パンガ!』韓国版ポスター

 『パンガ?パンガ!』は、シネマコリア2005で上映した『達磨よ、ソウルへ行こう』のユク・サンヒョ監督の新作です。韓国における外国人労働者問題を、絶妙のコメディ・センスでエンターテイメントにまで昇華させた秀作。ワタクシ的には2010年に韓国で劇場公開された作品の中でイチオシです。名バイプレーヤー、キム・イングォンの主演代表作であり、かつ、劇中でベトナム人女性に扮したシン・ヒョンビンの演技にも要注目。

 ユク・サンヒョ監督については忘れられない思い出があります。シネマコリア2005で来日された折、上映作『達磨よ、ソウルへ行こう』のポスターにサインをお願いしたところ、

「Great Audience!」

と書かれたのです。『達磨よ、ソウルへ行こう』は、2001年の大ヒット作『達磨よ、遊ぼう』のシリーズ第二弾として2004年に公開された作品です。が、前作ほどのヒットにはならず、また、ドタバタコメディゆえ評壇での評判もよろしくなく、韓国ではいろいろな意味であまり評価されていない作品でした。それゆえ監督も意気消沈されていたようなのですが、シネマコリア2005で日本に来てみると、700席ある会場は満席。加えて、鑑賞中に笑い声は起こるは、拍手する方もいるはのノリの良さ。会場全体で作品を楽しむ雰囲気にすっかり気分を良くされた監督が、帰国前に書いた言葉が「Great Audience!」だったのです。

a0101620_22385847.jpg

ユク・サンヒョ監督(シネマコリア2005東京会場にて)

 映画祭には、監督や俳優など作品を作った皆さんと、観客の皆さんを直に引き合わせる、観客の思いを作り手サイドに届けるといった役割もあります。経験上、エライ映画評論家にほめられるより、観客に「面白かった!」と言ってもらえる方が、監督さんたちは嬉しいようです。そして、それがまた次回作への創作意欲につながっていく・・・。

 こうやって考えてみると、映画祭という限定された空間で映画を見るという行動は、そして、その場で作り手たちに自分の感じたことを伝えるという行動は、大げさに言うと、映画を良くする、進化・発展させることにつながっているのですね。

 東アジア市民共生映画祭2011では、(HPには明記されていませんが)ユク・サンヒョ監督を招待して、東アジアの青年失業問題や移住問題に関するトークも計画されているようです。今回もまた、良き観客との出会いが監督を待っていることでしょう。

■東アジア市民共生映画祭2011
 11/19(土)@熊本:熊本学園大学 学生会館
 11/23(水・祝日)@福岡:九州大学 国際ホール(箱崎キャンパス)
 『バンガバンガ』 原題 パンガ?パンガ!/2010年/監督 ユク・サンヒョ
 http://film.witheastasia.org/
[PR]
# by seochon | 2011-09-04 22:44

4つの「はやぶさ」映画

 昨日は、打ち合わせで名古屋に出たついでに、久しぶりに伏見ミリオン座で映画を見てきました。

 「何を見ようかなあ」と上映時間表を見ると・・・

 『はやぶさ -HAYABUSA BACK TO THE EARTH-』

の文字が。

 この映画、2009年にプラネタリウム上映用に作られたドキュメタンリーなのですが、地球帰還シーンなどの最新映像を追加して5月14日から公開されています。当初、ワーナー・マイカル・シネマズでしか公開されておらず、しかも期間限定っぽかったので普段行くことのないWMC大高まで見に行ったのが5月下旬のこと。以来、モーニングショーで1日1回上映が延々と続き、今では伏見ミリオン座に場所を移して上映が継続されています。もうかれこれ三ヶ月以上。。。

 全然話題になりませんが、単館系での密かなヒット作じゃないでしょうか?


 映画は「はやぶさ」の打ち上げから帰還までをフルCGで描きます。人間は一人も登場せず、「はやぶさ」を擬人化した「はやぶさ」が主役の科学ドキュメンタリーです。

 色々知らないことを教えてもらったわけですが、「へえー」と関心させられたのが「地球スイングバイ」という航法。「はやぶさ」は打ち上げられた後、地球と同じ軌道を回っていたのですが、地球に再接近した際、重力を利用して加速。地球の軌道から飛び出して、「イトカワ」の軌道に乗る。これが「地球スイングバイ」です。要するに燃料をほとんど使わずに航行しているわけですが(ちなみに「はやぶさ」はロケットではなく電気推進)、これを成功させるためには緻密な航路の計算が必要なはずで、一体全体誰が計算したんだろう?とびっくり。数学と物理学の勝利。人類の英知ですなー、と関心させられたのでした。

 この映画を見て初めて知ったのですが、「はやぶさ」は「イトカワ」へのタッチダウンに一度失敗しているんですね。しかも機体にダメージを受けて地球との交信も絶たれ一時行方不明になってしまうという。それでも「イトカワ」のカケラを持ち帰った「はやぶさ」の奇跡は、事前の周到な準備と、トラブったときの諦めない気持ち&臨機応変さが生み出したものと言えるでしょう。前者は日本が、後者は韓国が得意とするところですが、両方持っているのがベストだよねえと当たり前のことを再確認させてくれた作品でした。

 「はやぶさ」については

『はやぶさ/HAYABUSA』 2011/10/1公開
『おかえり、はやぶさ』 2012/3/10公開
『はやぶさ 遙かなる帰還』 2012年公開

と、これから実写映画が続々と公開されます。どれも人間ドラマを強調した作りになると思われますが、「はやぶさ」という探査機の存在自体が奇跡みたいなものなので、過剰なドラマ演出をした作品よりも、科学ドキュメンタリーとして淡々と事実を描いた『はやぶさ -HAYABUSA BACK TO THE EARTH-』が一番心に残る感動を与えてくれるのではないか?という気がします。

『はやぶさ -HAYABUSA BACK TO THE EARTH-』
 公式サイト http://www.live-net.co.jp/hayabusa-movie/
 予告編 http://www.youtube.com/watch?v=6HY5bpVUeZM
[PR]
# by seochon | 2011-08-20 02:53
 『大韓民国1%』のDVDが今月26日に発売されます。そのジャケ写が劇場公開時と違っていて面白かったので、ご紹介。

a0101620_17104020.jpg


 こちらが劇場公開時のメイン・ビジュアルです。主役の海兵隊チームの集合写真。『大韓民国1%』は軍隊をネタにした家族物といった趣もある作品でしたが、家族の絆や団結を表したビジュアルと言えるかも知れません。

a0101620_171056100.jpg


 そして、こちらが劇場公開時のチラシの表紙。さきほどの写真からイ・アイ扮するイ・ユミをトリミングして全面に押しだしています。宣伝戦略としては、イ・アイのプロモーションで既存の韓流ファンに情報をがっちり伝えた上で、作品の魅力&テーマ性を伝えることによってプラスアルファの層にも訴求する、といった感じに見えましたが、チラシのデザインもその方針に沿ったものになっています。

a0101620_17111150.jpg


 そして・・・ こちらが今回発売されるDVDのジャケット。

 ぜーんぜん違いますね。^^;

 レンタル市場はアクション好きの男性中心と言われています。ミリタリーファンも一定数いるでしょう。そういった層に訴えかけるために、タイトルに「海兵隊特殊捜査隊」という副題を付け、2枚の写真も戦闘シーンに変わっています。レンタルで客が目にするのはタイトルとジャケ写のみ。この2つを変えるだけで売上が全く変わるといいます。


 劇場とパッケージ(DVD・ブルーレイなど)では客層が異なるので、宣伝方法をガラリと変えるのは珍しいことではありません。一昔前だと、劇場公開時でも東京と大阪でチラシのデザインを180度変えることもあったといいます(観客の気質が異なるため)。

 以下のグラフからも分かるように、日本のパッケージ市場は2004/2005年がピークでその後は毎年縮小しています。中でも減少幅が大きいのがセルで、2005年には2,655億円だった出荷額が2010年には1,851億円と30%以上のダウン。

a0101620_17112712.jpg


 一方、レンタルは、近年レンタル価格の大幅ディスカウントによって出荷額は漸減していますが、<出荷数量>は2005年以降も増え続けています(出荷数量のグラフは今回は付けていません)。また、セルの出荷額の経年変化が大きいのに対して、レンタルは2010年の804億円を例外としてほぼ1,000億円前後で安定しているのが分かります。セルもレンタルも売上が落ちている事実は変わりなく、どちらも苦しいのですが、どちらかというとレンタルのほうがまだマシな印象。

 DVDストレートの作品ですが、『止められない結婚「劇場版」』は吉本興業の協力を得て(*)レンタルでパワフルにプロモーションした結果、相当な回転をしたといいます(その反対にセルの売上は全くふるわず)。既存の韓国・韓流ファンに頼って討ち死にするより^^;、レンタル市場で韓国・韓流に全く関心のない層にアピールして活路を切り開く。。。 『大韓民国1%』もそのような例の一つになるのかも知れません。

(*) 『止められない結婚「劇場版」』は、吉本興業の肝いりで開催されている沖縄国際映画祭で上映されています。
[PR]
# by seochon | 2011-08-18 17:22

令子さん、チミンさん

 映画パブリシストの岸野令子さんから寄稿いただきました。

 あいち国際女性映画祭で上映される『2lines』のオススメ記事です。以下のURLでご覧いただけます。

■チミン監督の作品『2lines』をお勧めします
 http://cinemakorea.org/korean_movie/column/column226.htm

 岸野さんは大阪で映画の宣伝・配給をされている方ですが、私が韓国映画の紹介活動を始めるきっかけになった方でもあります。自分の好きな映画を「日本で配給して下さい!」と直訴したら、「そんなに意欲があるなら自分でやりなさい」と切り替えされ(^^;、またその言葉をなぜか真に受けて今に至るという(笑)。

 98年の話しですので、もう13年のつき合いになりますね。以来、『もし、あなたなら~6つの視線』や『まぶしい一日』を共同配給したりもしています。関西地区の自主上映にお強く、真!韓国映画祭上映作も岸野さんに何度か上映していただいています。これから開催されるイベントでは、富田林市の「アジアの映画まつり」で『ソウルのバングラデシュ人』が上映されます。岸野さんの解説トーク付き。


 岸野さんは韓国の女性映画人ともつき合いが深く、応援したい映画人がいるとシネマコリアに寄稿してくださいます。今回、フィーチャーされているのは『2lines』の監督チミンさん。韓国の女性ドキュメンタリストです。これまで監督した作品は3作品。その最初の短編作品『ファンボさんに春が来た(原題 ファンボ・チュル、彼女を紹介します)』を岸野さんが日本に紹介したことがきっかけとなり、岸野さんが訪韓されると必ず会う仲になってらっしゃいます。

 岸野さんの文章の特徴は「ヒトが立っている」ということです。文中の主役とご自分の関係から始まって、その作品の魅力に迫っていくので、その人物や作品を全く知らなくてもとっても親近感を感じることができ、読み終わる頃には「この映画見たいな~」と思わせる。プロなんだから当たり前と言えばそれまでですが、サスガですね。今回のチミンさんは日本では完全に無名の方で、インディーズ・ドキュメンタリストゆえ韓国でも有名とは言い難い。それでも「見たいなあ」と思わせる訳ですから、やっぱり凄いです。

 かく言う私もチミン作品は全くの未見。ご本人も全然存じ上げませんが、岸野さんの記事からは、身の周りの出来事を映像化するのが得意で、何かを訴えかけるというよりは観客と一緒に考えるタイプの作品を作る方のようです。プロフィールによると、まだ20代で「88万ウォン世代」とのこと。あいち国際女性映画祭のHPではまだ記載されていませんが、ご本人と『2lines』で撮影を担当したソン・ギョンファさんも来日される予定とのことです。ティーチインも楽しみです。

■あいち国際女性映画祭2011
 9/7(水)~9/11(日)
 上映作:『牛と一緒に7泊8日』『2lines 私、妊娠しました』
 ゲスト:イム・スルレ(『牛と一緒に7泊8日』監督)
     チミン(『2lines 私、妊娠しました』監督)
     ソン・ギョンファ(『2lines 私、妊娠しました』撮影監督)
 http://aiwff.com/
[PR]
# by seochon | 2011-08-17 16:02