シネマコリアの代表が、韓国映画と格闘する日々をつづります


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字幕の話し(2)~字幕制作スタッフになる

 シネマコリアで字幕制作をお願いしているホワイトライン社が、「字幕制作スタッフ」を募集しています。詳細はこちら

 「字幕翻訳」ではありません。「字幕制作」です。

 といっても、字幕制作スタッフが実際にどのような仕事をするのか、よく分からない方も多いと思いますので、ちょっと解説します。

 字幕制作はだいたい以下のような行程で進みます。

0.クライアント(配給会社、映画祭など)が、台詞台本と作業用のビデオを用意する。
1.台詞台本とビデオを見ながら、翻訳者が「ハコ書き」をする。
2.字幕制作スタッフが「スポッティング・リスト」を作成する。
3.翻訳者が「字幕翻訳」をする。
4.字幕制作スタッフが字幕をビデオに「仮ミックス」する。
5.翻訳者とクライアントに「仮ミックス・ビデオ」が送られ、字幕制作スタッフも含めた三者で字幕をチェックする。
6.修正が済んだ時点で、「字幕データ」が完成する。

 『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』でも、「よく勘違いされるのですが・・・」と紹介されていましたが、翻訳者は台詞を聞き取りながら翻訳しているわけではありません。通常は、台詞を全部文字におこした「台詞台本」があります。この台本を元に、台詞のどこからどこまでを一枚の字幕にするのか、区切っていきます。これが「ハコ書き」という作業です。「ハコ切り」「ハコ割り」などとも呼ばれます。映画の字幕は、人間の可読スピードを考慮して、台詞1秒に対して4文字という字数制限があります。加えて、一枚の字幕は、一行あたり10文字×二行=最大で20文字という制限もあります。従って、どこからどこまでを字幕一枚分にするのかを決める「ハコ書き」はとても重要な作業で、うまい翻訳家は「ハコ書き」が上手と言われています。通常は、翻訳家が行いますが、スケジュールがタイトな場合は、字幕制作スタッフが「ハコ書き」しながら、「スポッティング・リスト(後述)」を作成することもあります。

 翻訳者から「ハコ書き」したリストが届くと、字幕制作スタッフがそれを元に、専用の機械で、「スポッティング・リスト」を作成します。「スポッティング・リスト」とは、一枚の字幕ごとに、その字幕が表示され始める時間(イン・タイム)と表示を終了する時間(アウト・タイム)、表示される長さ(デュレーション)を計測してリスト化した物です。

 字幕翻訳家は、この「スポッティング・リスト」を受け取ると「翻訳」を始めます。ある字幕のデュレーションが2秒半だったとします。その場合、4×2.5=10文字が翻訳で使える文字数になります。

 翻訳が終了すると、字幕制作スタッフが字幕を入れたビデオを制作します。これを「仮ミックス・ビデオ」といいます。仮ミックス・ビデオを元に字幕をチェック&修正し、クライアントからオーケーが出ると「字幕データ」が完成します。

 ホワイトライン社の仕事はここまでです。実際にフィルムに字幕を打ち込んだりする作業はまた別の会社が行います。字幕制作スタッフとは、書籍でいうところの編集者に近いポジションにあります。基本的にパソコンと向き合うデスクワークです。


 ところで・・・

 将来的には字幕の翻訳を手がけたいが、何をどうすれば字幕翻訳家になれるのか分からない、という方は、まずは字幕制作スタッフになるという手があります。字幕制作スタッフは字幕制作のなんたるかを全て経験することが出来ます。プロの翻訳家のテクニックにも身近に接することが出来ます。クライアントとの関係も築けます。業界の内部情報も入るようになります。『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』の著者、太田直子氏もプロフィールに「映画の自主上映団体や字幕制作会社でアルバイトをしつつ」と書いてあるので、字幕制作スタッフの経験をお持ちではないかと思います。
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by seochon | 2007-04-29 16:15