シネマコリアの代表が、韓国映画と格闘する日々をつづります


by seochon
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『歓待』公開記念特集「深田晃司と杉野希妃」@神戸・元町映画館

 今週末より、神戸の元町映画館で『歓待』が公開されます。それにあわせて開催される特集上映「深田晃司と杉野希妃」でシネマコリア配給作品『まぶしい一日』も上映されますので、ご案内します。

 国内では東京国際映画祭で「日本映画・ある視点部門」の作品賞を、海外では先日韓国で開催されたプチョン・ファンタスティック映画祭で最優秀アジア映画賞にあたる「NETPAC賞」を受賞するなど、世界から注目を集めている『歓待』。本年日本映画最大の収穫と評しても過言ではない本作を生み出したのは、1980年生まれの監督・深田晃司と、1984年生まれの女優・杉野希妃の二人です。

 今年3月に開催された大阪アジアン映画祭では「新しい才能」として『歓待』はじめ深田監督の5作品が特集紹介上映されました。また、『歓待』と同映画祭コンペティション部門で上映された『マジック&ロス』に主演&プロデュースした杉野さんは、アジア映画の未来を担う才能に対して授賞される「来るべき才能賞」の有力候補になりました。今回、神戸で上映される作品は、大阪アジアン映画祭で上映された5作品+杉野さん主演&プロデュース最新作『避けられる事』+杉野さんデビュー作『まぶしい一日』です。

■『歓待』公開記念特集「深田晃司と杉野希妃」
 期 間:7月30日(土)~8月12日(金)
 会 場:元町映画館@神戸 http://www.motoei.com/
 上映作:『歓待』(深田監督、杉野主演&プロデュース)
     『東京人間喜劇』(深田監督)
     『ざくろ屋敷』(深田監督)
     『少年少女』(『歓待』メイキング)
     『マジック&ロス』(杉野主演&プロデュース)
     『まぶしい一日』(杉野主演)
     『避けられる事』(杉野主演&プロデュース)
 料 金:当日一般1,500円/2プロ券(『歓待』には使えません)2,400円
 特 記:7/30に杉野希妃さん、8/3に深田晃司監督の舞台挨拶あり。
     ※ いずれも19:40の『歓待』上映終了後。

■スケジュール
7/30~8/5
 13:00 『歓待』
 17:00 『東京人間喜劇』(土・月・水・金)
    『ざくろ屋敷』+『少年少女』(日・火・木)
 19:40 『歓待』
8/6~8/12
 15:10 『歓待』
 17:10 『まぶしい一日』
 19:40 『マジック&ロス』+『避けられる事』


 前半が深田特集、後半が杉野特集となります。

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『まぶしい一日』第一話『宝島』より
右が杉野希妃さん


 『まぶしい一日』は日韓の若手映画人が戦後60周年を記念して「日韓関係」をテーマに制作した青春オムニバス映画です。当時、韓国に留学していた杉野さんは第一話『宝島』に出演されています。劇中、杉野さんにからむ韓国人高校生役として『息もできない』のヤン・イクチュンが出演し、彼の名前が台詞としても登場します。『宝島』での二人の出会いは後に『マジック&ロス』へとつながっていきます。

 『東京人間喜劇』は深田監督の出世作で、バルザックの作品群『人間喜劇』で使われた、ある物語の主人公が別の物語で脇役として登場する手法を応用したオムニバス群像劇です。最後のエピソードで「夫が妻をぶとうとするがそのとき夫には腕がなかった…」という印象的なシーンがありますが、このシーンは『歓待』のラストで印刷所の夫が杉野さん演じる妻のほほをはるシーンへとつながっていきます。『歓待』とあわせて鑑賞すると、深田監督の人間観察眼・洞察力をより深く感じることができるでしょう。なお、杉野さんはこの『東京人間喜劇』をご覧になって深田監督作品のプロデュースを決意されたそうです。「このような作品を作る監督であれば、世界に通じる映画を作ることができるだろう」と考えて。

 『ざくろ屋敷』は深田監督の2007年の作品。バルザックの小説群『人間喜劇』より「ざくろ屋敷」と「二人の若妻の手記」の二つの物語を、70枚近くのテンペラ画と美しいクラシックの調べで再構成した意欲作です。この作品は「アニメ」といってもよいかも知れません。アートアニメーションがお好きな方には特にオススメです。

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左から『歓待』の深田監督、主演のオノエリコちゃん、杉野さん
大阪アジアン映画祭2011にて


 深田晃司と杉野希妃。二つの才能は『歓待』で結実します。私がこの作品を評価するのは、一見して「作家・製作者の意思が感じられる」からです。コミュニティと外来者の排除という普遍的な問題を、抜群のユーモアとオリジナリティでエンターテイメントとして観客を魅了し、見終わった後に何かを考えさせる。映画を通じて何事かを主張する姿勢、それはティーチイン時の饒舌な深田監督の姿からもうかがい知ることができますが、若手作家として非常に好印象。語るべき物を持たない者は映画を作るべきではありません。

 杉野さんに多大な影響を与えた映画人にマレーシア人監督ヤスミン・アフマドがいます。先日、上京した折、やっとその代表作『細い目』を見ましたが、複雑な多民族国家マレーシアにおいて、新しい社会のあり方を提示したファンタジックな作品でした。杉野さんは東京国際映画祭でヤスミン作品を鑑賞後、その世界観と監督の人となりに感激し、自分の主演作『クリアネス』の小野光輔プロデューサーが、ヤスミンと新作『ワスレナグサ』を準備していることを聞きつけ、自分もプロデュースする!と志願したそうです。女優業は以前から行っていましたが、プロデュースも始めたのはヤスミンがきっかけという訳です。『細い目』と『歓待』に共通項を感じた方は、以下のような催し物もオススメです。『細い目』で主演のオーキッドを演じたシャリファ・アマニさんほか、杉野さん、小野さんもパネリストとして参加されます。

■「女性らしさ」の冒険――「愛しい母」ヤスミン・アフマドの思い出とともに
 日時:7月31日(日)13:30~16:30
 会場:京都大学芝蘭会館山内ホール
 プログラム:第1部 マレーシアにおける教育と結婚
       第2部「女性らしさ」の冒険
 http://malaysia.movie.coocan.jp/event.html#yasmin2011

 小野プロデューサーと和エンタテイメントを立ち上げ、『ワスレナグサ』を準備していた杉野さんですが、ヤスミンの急逝によってプロジェクトは頓挫します。しかし、プロデュースする女優としての歩みを止めることなく、その後、『歓待』『マジック&ロス』『避けられる事』といった作品を生み出し続けます。

 『少年少女』は、『歓待』のメイキングです。主演の少女エリコとロケ地周辺に住む少年・少女との物語。ちなみに、エリコ役の少女は、杉野さんのプロデュース・パートナー、小野光輔さんの実の娘さんです。

 『マジック&ロス』は、大阪大学を卒業したマレーシア出身のリム・カーワイ監督作品。『息もできない』のヤン・イクチュン、キム・コッピと、杉野さんが主演する多国籍映画です。香港のリゾート地での不思議な出来事が描かれます。

 『避けられる事』は和エンタテイメントと早稲田大学の共同プロジェクト。監督はシンガポール生まれのマレーシア人、エドモンド・ヨウ。この作品は日本で上映されるのは今回が初めてではないかと思います。私は全州国際映画祭で見ましたが、白黒の映像が美しいリリカルな作品でした。友人の死をきっかけに再会した二人の女性を杉野さんと篠原ともえが好演。YOUTUBEで予告編が見られます。

http://www.youtube.com/watch?v=6a2Z3fbiu8Q
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by seochon | 2011-07-27 12:11